ホーム >> Another Side of Music >> 第60回 Carly Simon / カ-リ-・サイモン 『NO SECRETS / ノー・シークレッツ<SHM-CD>』
Another Side of Music

第60回
Carly Simon / カ-リ-・サイモン
『NO SECRETS / ノー・シークレッツ<SHM-CD>』

『NO SECRETS / ノー・シークレッツ<SHM-CD>』

男を惑さないでくださいね

全米No.1ヒットとなった名曲「うつろな愛」を収録。リチャード・ペリーをプロデューサーに迎え、シンプルでエレガントなポップ・ロックに仕上げられた大ベスト・セラー・アルバム(1972年作品)。
http://wmg.jp/artist/carlysimon/WPCR000013255.html


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男というのは大変頭の悪い生き物で、ちょっと女子から優しくされると「あれ、この子、もしかして俺に気があるんじゃね?」と思う傾向にある。そして、男同士で集まると「あの子は俺に惚れてるに違いない」「いーや、俺に惚れてるんだ」という無益な口論を繰り広げたりする。やがて、その子がさらっと別の男と付き合っているのを知って撃沈してしまう。そうした経験を積み重ねることにより「女子からチラチラ見られている気がするときは、自分がチラチラ見ているだけなのだ」ということを少しずつ学習していく。

それでも頭のどこかに幻想は残っていて「もしかして、あの子、いやいや、そんなはずはない、もう騙されんぞ」という葛藤を繰り返す。それが"男脳"というものだ。困ったことに、世の中にはこうした男脳をもてあそぶ女子がいる。そういう人は笑顔で男に近づきながらも内心では「ふふふ。勘違いしとる勘違いしとる。面白いからもうちょっとその気にさせといたろ」と思っているのかもしれない。お願いだからやめてほしい。

さらにタチが悪いのが、無意識に、ほとんど本能的に、男脳を刺激する技を身につけている女子がいることだ。これは困る。なにせ本人も意識していないからだ。それなのに、にこっと笑いかける顔が男を惑わす。で、男がその気になって付き合ってくれとか言うと「えぇ、私、そんなつもりじゃあ」と断られる。そういう場合、きまって「たしかに好きですけど、それは人として好きなのであって、恋愛感情とは違って」みたいな台詞を聞くはめになる。しかし稀に、計算していないように見せて実は思い切り計算している、というパターンもあるので要注意だ。そうなるとまさに罠。為す術がない。男性諸君、気をつけような。もう何も信じない、くらいの気持ちで生きようじゃないか。

カーリー・サイモンも男脳を惑わす女性なのだろう。『ノー・シークレッツ』というアルバムの中にある「うつろな愛」の歌詞では、男を惑わしまくっている。それは"ある男"に向けられたラブソングなのだが、それが誰なのかがあやふやなのだ。さらに、「あなたってとってもうぬぼれやさん この歌だって自分のことを歌っていると たぶん思っているんでしょう」などという。恐ろしい。

案の定、馬鹿な男はほいほい出てくる。この歌でコーラスをつとめるのは、なんとあのミック・ジャガー。なんで参加したのか本当のところは知らないが、一説には当時カーリー・サイモンとお付き合い(?)していたミックが、「この曲は俺のことだ。だから俺にも歌わせろ」と言ったとか言わないとか。結構張り切ってサビを歌っているところがなんとも切ない。ああ、ミック。さらに、このアルバムには、後にカーリーと結婚することになるジェイムス・テイラーも参加しているが、彼女自身がこの歌は彼のことを歌ったのではないと宣言しているという。じゃあ誰やねん、と突っ込まずにはいられない。

ちなみにこのアルバム、サウンドは地味だかクオリティーはかなり高い。ローウェル・ジョージ(g)、ジム・ケルトナー(dr)など挙げたらきりがないので挙げないが、参加ミュージシャンも豪華で演奏も素晴らしい。もちろん曲もよく、カーリー・サイモンというシンガー・ソングライターの才能が溢れている作品になっている。少し違うがイメージ的にカーペンターズとか好きな人はぜったい気に入るはず。しかし、ジャケ写はなぜノーブラなのか。当時は流行っていたんだろうか。いずれにしても、気になった方はぜひ。

さて、その後めでたくジェイムス・テイラーと結婚したカーリー。しかしその結婚生活は約10年ほどで終わる。どないやねん、と突っ込まずにはいられない。

今回紹介した1枚

『NO SECRETS / ノー・シークレッツ<SHM-CD>』 Carly Simon / カ-リ-・サイモン
『NO SECRETS / ノー・シークレッツ<SHM-CD>』

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全米No.1ヒットとなった名曲「うつろな愛」を収録。リチャード・ペリーをプロデューサーに迎え、シンプルでエレガントなポップ・ロックに仕上げられた大ベスト・セラー・アルバム(1972年作品)。
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穴澤 賢 (あなざわまさる)

プロフィール

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。

「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/